慢性腎臓病のマーカーとして有用なシスタチンCを測定
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は10月9日、糸球体濾過量(GFR)の指標となるシスタチンCを測定するための専用試薬「リキテック シスタチンCII」の販売を10月8日より開始したと発表した。
画像はプレスリリースより
慢性腎臓病(CKD)の重症度判定は、腎機能評価の指標となるGFRを用いて行うが、血清タンパク質のシスタチンCは、全身の有核細胞から常に一定の割合で産み出されるものであり、食事や筋肉量、性別・年齢差といった諸条件による影響を受けにくいという点で、GFRのマーカーとして有用なものと考えられている。
これに対し、現在一般的に腎機能指標として用いられる血清クレアチニン値では、筋肉量による影響が認められるほか、GFRが30~40ml/分/1.73m2程度に低下するまで上昇しないといった問題があり、早期腎機能障害の診断には向かないという。この点では、シスタチンCは血清クレアチニンよりも優位性をもっているといえる。
IFCC標準物質に対応した製品で国際標準の測定を可能に
ロシュ社は、これまでにもシスタチンC試薬を販売してきたが、今回のリキテック シスタチンCIIは、国際臨床化学連合(IFCC)が設定した標準物質であるERM-DA471/IFCCをベースとした製品であり、新たに国際標準でのシスタチンC測定を可能にしたという。同社では、これによりメーカーごとの検査基準値のばらつきがなくなり、利便性が向上するとしている。
測定は、ロシュ社の生化学自動分析装置を用いて行うものとなっており、自動分析装置上で、開封後8週間は安定性を保って使用できるという。対応機種はコバス 6000、コバス 8000、モジュラーアナリティクスの3種。測定方法は、ラテックス凝集比濁法となる。必要な検体量は2μLで、測定時間は10分。測定範囲は0.4~6.8mg/Lとなっている。
▼外部リンク
・ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 プレスリリース