これまでの共通認識とは全く異なる様式で結合
横浜市立大学は10月6日、がん抑制タンパク質p53のリン酸化された転写活性化ドメインの複合体としての立体構造を解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
これは、同大大学院生命医科学研究科の奥田昌彦特任助教と西村善文研究科長による研究成果で、米化学会誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン版に9月29日付で掲載されている。
p53の転写活性化ドメインがこれまで共通認識とされていた様式とは全く異なる形で結合していることを明らかにしたもので、プレスリリースでは、「新たな抗がん剤の設計等に有益な情報を提供することが期待されます」と述べられている。
最適な親和性を得られるよう構造を変化
今回の研究では、同大学の高磁場NMR分光器を用いて46番セリンと55番トレオニンがリン酸化されたp53転写活性化ドメインと、基本転写因子p62のPHドメインとが結合した複合体の構造を解析した。その結果、p53が伸びた紐のような形でPHドメインに広く巻き付いていることを明らかにしたという。
また、p53はターゲットのわずかな構造の違いを認識して、同じPHドメインであっても最適な親和性を得られるよう柔軟に構造を変え得ること、リン酸化による結合力増加のメカニズムも解明したとしている。
▼外部リンク
・横浜市立大学 プレスリリース