全寛解率及びほぼ完全寛解に近い状態の増加も確認
スイスのノバルティスは現地時間9月19日、開発中の化合物「LBH589(一般名:パノビノスタット乳酸塩)」について、再発・難治性多発性骨髄腫患者を対象とするPANORAMA-1第3相臨床試験で、ボルテゾミブとデキサメタゾンの併用下において、同剤を追加投与したところ、プラセボの追加投与と比べて、無増悪生存期間(PFS)の中央値が4か月延長という統計的有意かつ臨床的意義のある延長を記録したデータが得られたと発表した。試験データは、「The Lancet Oncology」に掲載された。
PANORAMA-1試験では、LBH589の追加投与群で、臨床的意義を持つ完全寛解率及びほぼ完全寛解に近い状態の増加も確認されたほか、奏効期間の延長もみられている。LBH589の有効性は、全患者のサブグループで確認されたという。
768人の患者を対象に、日本からも34人の患者が参加
PANORAMA-1試験は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際共同第3相臨床試験としてデザインされ、世界215の施設で768人の患者を対象に実施された。主要評価項目はPFSで、主な副次評価項目は全生存期間。この最終データは、まだ得られていない状況という。なお、この試験には日本からも34人の患者が参加した。
報告されている副作用は、これまでのLBH589の試験で観察されたものと同様で、最も多かったグレード3/4の有害事象は、血小板減少症、リンパ球減少症、好中球減少症、下痢、及び神経障害だった。これらはいずれも支持療法及び減量による管理が可能であったとされている。
多発性骨髄腫においては、ほとんどのケースで最終的に再発し、治療抵抗性となることから、予後を改善できる新たな治療法の開発が求められている。今回の試験データは、ボルテゾミブとデキサメタゾンの剤併用レジメンにLBH589を追加投与することが、この標準的な2剤レジメンに対し優位であることを示したものであり、これは第3相臨床試験において初の成果としている。
この結果は、LBH589が多発性骨髄腫治療に良好な影響を与える可能性を示唆するものであり、新たな作用機序を持つ汎脱アセチル化酵素阻害剤を追加することは、患者にベネフィットをもたらすことを示すとしている。
▼外部リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース