骨子では、一般用検査薬の導入の際に原則となる検査項目について、▽健康状態を把握し、受診につなげていけるもの▽悪性腫瘍や心筋梗塞など、重大な疾患の診断にかかるものは除く▽感染症にかかる検査は個別の検査項目ごとに販売方法を含め慎重に検討を行う――とした。
検査に用いる検体については、採取に際して侵襲性のないものを対象にするとの方向性を示し、「特に血液を検体とする検査を一般用検査薬とすることは難しい状況にある」とした。
日本臨床検査薬協会や日本OTC医薬品協会などが一般用への転用を求めていた生活習慣病関連の検査項目は、穿刺血を用いて測定することが多く、“血液検査は難しい”との方向性が示されたことにより、ほぼ不可能になったといえる。
また、侵襲性がないとして、業界が期待していた糞便を検体に用いた便潜血検査も、悪性腫瘍の診断にかかる検査は除くとされたことで、難しくなった。
インフルエンザなどの感染症関連の検査についても、感染初期のためウイルスを検出できないウインドウピリオドなどの課題があり、原則として医療機関で行われるべきとの考えが示されており、ハードルが高くなった。
販売時の情報提供では、▽検査項目の意義、目的▽検査の感度▽判定結果を踏まえた適切な受診勧奨――などについて分かりやすく説明すると共に文書、相談応需等の体制を充実する必要があるとした。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、血液を検体とする検査のスイッチ化は困難との考えが明確化されたことについて「評価したい」と述べた。一方で、一般消費者向けの遺伝子検査サービスが行われている実態について言及し、一般用への転用から除外する検査項目に遺伝性疾患の診断も加えるべきとの考えを示した。
生出泉太郎委員(日本薬剤師会副会長)は、今年6月に施行された改正薬剤師法の情報提供に関する規定において、新たに薬学的知見に基づく指導を行うことを求める文言が追記されたことに触れ、「新たな一般用検査薬は薬剤師によって指導が行われるようなリスク分類がされることを希望する」と述べた。
次回は、取り扱いの見直しを踏まえ、具体的な転用の仕組みを議論する。