RMPは、▽重要な副作用など、どのようなリスクが存在するのか▽リスクに関する情報の収集方法▽リスクを最小化するための活動――などの情報を医薬品ごとにまとめたもの。各製薬会社はその内容を医薬品ごとに文書化し、製造販売承認申請時に提出する必要がある。2013年4月1日以降に承認申請する新薬、バイオ後続品から適用された。現在、約50品目のRMPが医薬品医療機器総合機構のウェブサイトで公開されている。
RMPに記載された内容を、実効性の高いものにするには医療機関側の協力が不可欠だ。今年4月以降、RMPの公開件数が急増している。これを受け、医療の安全性を高めるために各医療現場はいかにRMPを活用するべきなのか、関心が強まっている。
ただ、各医薬品のRMPの内容を記載した文書は20ページ以上に達するものが多く、「全てに目を通して要点を把握するには時間を要する」(山口大学教授・医学部附属病院薬剤部長古川裕之氏)という課題があった。
こうした背景のもと同院薬剤部は、RMPの要点をひと目で理解できるRMP概要シートのフォーマットを作成した。RMPに記載された[1]安全性検討事項[2]有効性に関する検討事項[3]医薬品安全性監視計画[4]有効性に関する調査・試験計画[5]リスク最小化計画――の骨子を抜き出してA4用紙1枚に記載。PDF形式の電子文書として運用する。各項目の骨子部分をクリックすればRMP本文のページに移動し、詳しい情報を閲覧できる仕組みになっている。
同院薬剤部は、各薬剤のRMP概要シートの作成と提出を各製薬会社に要請。いくつかの製薬会社は前向きな反応を示している。各医療機関がそれぞれ独自の要求を行うと、製薬会社の負担が重くなり対応しづらくなるため、統一したフォーマットである同シートの提出を製薬会社に求めるよう、各医療機関に呼びかけている。
RMP概要シートには、安全性検討事項として▽特定されたリスク▽重篤な潜在リスク▽重要な不足情報――の骨子を表示。この情報を活用すれば、監視する必要のある重大な副作用を早期に発見して対処したり、疑わしい重大な副作用を早期に把握したりするなど、効果的で効率的な副作用モニタリング業務を医療現場で実施しやすくなる。
実際に同院薬剤部は今月1日から、DI室が中心となってRMP活用のトライアルを開始した。病棟担当薬剤師は、各社から提出されたRMP概要シートと紐づけされたRMP本文のPDFを、持ち歩くタブレット端末に保存して病棟で活用。週に1回、RMPの記載内容に沿って副作用発現の有無をモニタリングしている。
今後は、使用成績調査などに対する支援を、薬剤師が今まで以上に行える体制を構築していく構想も持っている。