国際共同第3相臨床試験で病勢進行リスク20%抑制を確認
独ベーリンガーインゲルハイムは9月27日、再発及び/または転移性頭頸部扁平上皮がんの患者を対象とした、アファチニブの有効性・安全性をメトトレキサートと比較検討する第3相臨床試験「LUX-Head&Neck1」の結果を公表、主要評価項目を達成したと発表した。
アファチニブは、日本ではEGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がんを適応に、「ジオトリフ(R)」として製造販売承認を取得している。頭頸部がんの適応では、いずれの国においても承認されていない。
LUX-Head&Neck1は、19か国483人の患者が参加したランダム化非盲検国際共同第3相試験。プラチナ製剤を用いた治療中あるいは治療後に疾患進行した再発及び/または転移性頭頸部扁平上皮がん患者を、アファチニブ40mg/日 経口投与群と、メトトレキサート40mg/m2/週 静脈内投与群に2対1の割合で割り付けて実施した。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、アファチニブ投与群では、メトトレキサート(化学療法)群に比べPFSの有意な延長がみられた。病勢進行リスクにして20%の抑制が確認されたという。
化学療法よりも腫瘍増殖を遅らせる初のチロシンキナーゼ阻害薬として期待
副次評価項目でも、アファチニブは病勢コントロール率を有意に改善し、客観的奏効率も、化学療法群に比較して数値的に高い結果となった。なお全生存期間では、両群間の有意差は認められていないという。
QOL質問票では、アファチニブ群で疼痛の報告が少なく、疼痛や嚥下などの症状、またGlobal Health Status(全般的健康及びQOL)の悪化がみられるまでの期間を遅らせることが可能と示された。化学療法群に比べてアファチニブ群でみられた主な有害事象は、発疹/ざ瘡、下痢、爪囲炎、悪心で、薬剤投与に関連した減量及び投与中止例は、化学療法群よりもアファチニブ群の方が少なかったと報告されている。
これらの結果から、前治療が奏効しなくなった頭頸部扁平上皮がん患者において、不可逆的ErbB阻害剤であるアファチニブの1日1回投与が、化学療法よりも腫瘍増殖を有意に遅らせることができる初のチロシンキナーゼ阻害薬であることが明らかになったとしている。