赤血球を破壊する膜孔形成毒素
北海道大学は10月2日、病原菌が赤血球を破壊する仕組みを解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
この研究成果は同大大学院先端生命科学研究院の田中良和准教授らの研究グループによるもので、英科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に9月29日付で掲載されている。
病原菌は可溶性の単量体として膜孔形成毒素タンパク質を分泌して、ヒトの赤血球を破壊する。膜孔形成毒素は円状で赤血球に接した後に大きく形を変えて膜孔を形成しているが、これまでは単量体の構造、膜孔の最終的な構造しか分かっていなかった。
膜孔は2段階で形成されることが判明
今回、研究チームは黄色ブドウ球菌が分泌する膜孔形成毒素の、膜孔を形成する直前の結晶を作製。大型放射光施設(Photon Factory,SPring-8)の強いX線を用いたX線結晶構造解析で詳細な構造を調べた。
その結果、最終的には円筒形になる膜孔が一気に形成されるのではなく、はじめに上半分が作られ、のちに下半分が作られるという2段階で形成されることが明らかになったという。
プレスリリースでは
膜孔は,孔の内部を物質が通過する性質を利用して,DNA シーケンサーや分子センサーとして応用されていますが,孔を形成する過程がわかったことにより,今後は,孔を形成する際の動きを利用した分子デバイスへと応用されると期待されます。
と述べられている。
▼外部リンク
・北海道大学 プレスリリース