アレルギー性鼻炎で喘息のリスクは3倍に
MSD株式会社は9月18日、予防医療プレスセミナー「喘息シーズンに向けた鼻炎合併喘息の実態と対策~花粉症・アレルギー性鼻炎のケアで喘息悪化を予防 QOLの向上を~」を開催した。独立行政法人 国立病院機構東京病院の大田健院長、NPO法人 札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンターの田中裕士理事長が講演した。
国立病院機構 東京病院
大田健院長
大田理事長は過去の調査からアレルギー性鼻炎があると喘息を発症するリスクが3倍高くなるというデータのほか、喘息とアレルギー性鼻炎の重症度に相関が認められる点を指摘。「すべての原因が明らかになっているわけではありませんが、鼻がつまるため、鼻粘膜を通したフィルター効果が失われること、乾いた空気によって気道の収縮が起こることがわかっています」(大田院長)
また、「たとえば、花粉などが下気道まで到達しなくても、鼻粘膜が炎症を起こすと炎症細胞やメディエーター、そして後鼻漏によってアレルギー性炎症の媒体物質が下気道まで流れていくことが考えられます」(大田院長)として、鼻炎と喘息の関連性を示した。
患者と医師、合併に対する認識におよそ4割の差
札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター
田中裕士理事長
MSDが行った「喘息とアレルギー性鼻炎に関する意識調査結果」によると、喘息とアレルギー性鼻炎の合併の有無について、患者自身に質問したところ、62.5%が合併していると回答した。一方、医師に対して喘息患者のうち、アレルギー性鼻炎を併発している患者の割合を聞いたところ、平均で26.2%の患者が合併しているとの回答で、患者と医師の認識の間に約4割近い開きがあった。
さらに札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンターの田中理事長によると、札幌市内の内科では、喘息患者の74.6%の患者がアレルギー性鼻炎を合併していたという。このことから、医師の認識以上にアレルギー性鼻炎を合併する喘息患者は多く、回復の可能性を見落としていると考えられる。
田中理事長は、アレルギー性鼻炎合併気管支喘息の治療における基本的な考え方として、以下の3つを上げている。
また大田院長は、臨床データから上気道下気道の炎症は密接に関連することが分かっており、「『One Airway,One Disease』という概念からすべての喘息患者に対して、鼻炎の診察を行うべき」との見解を示した。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
・MSD株式会社 ニュースリリース