ウコン、と聞いて思い浮かべるのはどんなことでしょう?多くの人は、お酒を飲むときにいい、肝臓にいい、などと答えるかと思います。
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ウコンは世界中で調味料としてだけではなく、薬草としても古くから使われてきました。日本人の多くが大好きなカレーにもウコンが入っていますね。
このウコンには、2つの生理活性物質が含まれており、その1つはクルクミン。抗炎症作用に優れているとされています。これまでは、肝臓によい、血液がサラサラになるなどと言われてきたものです。
そしてもう1つが、ターメロンと呼ばれるもの。この成分、クルクミンに比べると取り上げられることが少なかったのですが、実は、脳にも良いとの報告が専門誌「Stem Cell Research & Therapy」に掲載されました。
今回の研究は、試験管内のものと、生体内のもの、2通りで行われています。試験管内の研究では、神経へと分化するラットの神経幹細胞を、濃度の6段階に異なるターメロンのエキスで72時間にわたり増殖させました。すると、神経幹細胞の増殖レベルが最大8割までアップし、細胞の分化も加速されました。
これは、脳の免疫を保つのに重要な細胞で、神経幹細胞が炎症を起こす原因として知られるミクログリアの活性化を食い止める働きがターメロンにあるため、と考えられています。
さらに生体内の実験では、ラットにターメロンを注射しました。注射を行ったラットと何もしていないラットの脳をPETスキャンで比較すると、注射を受けたラットでは脳室下帯のエリアが増大し、海馬のサイズも大きくなっていました。この部位は、成長した哺乳類では、神経の成長発達が影響する場所だとされています。
今後は、この仕組みがヒトの病気の治療や健康の維持に役立てられるような研究が進められることになりそうです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
・Aromatic-turmerone induces neural stem cell proliferation in vitro and in vivo
・Turmeric compound boosts regeneration of brain stem cells