前治療薬に抵抗性または不耐容のCMLを適応として
ファイザー株式会社は9月26日、同社が開発した経口SRC/ABLチロシンキナーゼ阻害剤「ボシュリフ(R)錠100mg(一般名:ボスチニブ)」について、前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)を適応とする製造販売承認を取得したと発表した。
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現在、CML患者に対する1次治療では、選択的BCR-ABLチロシンキナーゼであるイマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブによる治療、あるいは同種造血細胞移植が選択される。しかし、これらによって十分な治療効果が得られないケースや副作用によって投与を中断せざるを得ないケースもあり、2次治療、3次治療以降のアンメットメディカルニーズが高い。
ボシュリフは、海外および国内の臨床試験において、イマチニブ抵抗性または不耐容(2次治療)のCML患者、イマチニブ治療後のダサチニブまたはニロチニブ抵抗性または不耐容(3次治療以降)のCML患者で有効性が認められており、その忍容性も良好であることが確認されている。
BCR-ABL伝達系を阻害、抗腫瘍効果を発揮
CML患者を対象とした臨床試験は、第1/2相試験が2006年に海外で、2007年に日本国内で開始され、第3相試験は国際共同試験として2008年から実施された。これらの良好な結果を受け、2013年12月に国内承認申請が行われ、前治療薬に抵抗性または不耐容のCMLを対象とする希少疾病用医薬品指定も受けている。
重大な副作用としては、肝炎・肝機能障害、重度の下痢、骨髄抑制、体液貯留、ショック、アナフィラキシー、心障害、出血、膵炎、間質性肺疾患、腎不全、肺高血圧症、腫瘍崩壊症候群が現れることがあるとされ、これらに特に注意が必要となるため、用量調節や対処方法の参考となるよう、適正使用ガイドが作成・提供されている。
白血病細胞増殖には、Ph上のBCR-ABL融合遺伝子にコードされて産生されるBCR-ABLチロシンキナーゼの恒常的な活性化が深く関与していることが知られており、ボシュリフはこのBCR-ABL伝達系を阻害することにより、抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。
なお、ファイザーでは同剤についてAvillion LLPと共同開発契約を締結しており、現在Avillion LLPが未治療のCML患者を対象とした国際共同第3相試験の実施も進めている。(紫音 裕)
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・ファイザー株式会社 プレスリリース