初回治療としての併用療法と単剤療法を比べ
英グラクソ・スミスクラインplcは9月8日、Gilead Sciences, Inc. (ギリアド社)と共同で実施した、未治療の肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者を対象とするアンブリセンタンとタダラフィルの併用療法を評価することを目的とする第3b/4相臨床試験である「AMBITION試験」おいて、いずれかの単剤療法に比べ、治療失敗リスクが低減することを確認したと発表した。
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この試験は無作為化二重盲検多施設共同試験で、アンブリセンタン10mgとタダラフィル40mgの併用によるPAHの初回治療が、アンブリセンタン単剤群とタダラフィル単剤群の併合結果に比べ、治療の失敗が見られるまでの期間が有意に延長されることが明らかとなり、失敗リスクを50%抑制することが分かったという。
副次的評価項目のうち、6分間歩行距離、十分な治療効果が認められた患者の割合、NT-proBNPにおけるベースラインからの変化の3項目でも、統計学的に有意な差が認められている。なお、残り2項目のWHO機能分類、ボルグ呼吸困難指数では、統計学的有意差はなかったという。
各国で併用に関する適応申請を行う計画
重篤な有害事象の発現率や、試験中に投与中止となったケースの発現率はいずれの投与群でも同様で、安全性における問題点は確認されていないとしている。
初回からの併用療法が単剤療法に比べて治療失敗リスクを50%低下させたという今回のデータは、このアンブリセンタンとタダラフィルの併用療法が、WHO/NYHA機能分類クラス2および3の未治療PAH患者に対する標準治療となる可能性があることを示している。前臨床データでは、この併用療法に相乗効果がある可能性も示唆されており、新たな治療選択肢として有効なものと期待されている。
現時点では、併用療法としての用法・用量は世界のいずれの国でも薬事承認されていないが、GSKとギリアド社では、今後このAMBITION試験データを米国やEU、その他各国の規制当局に提出する方針で、アンブリセンタンとタダラフィルの併用に関する適応の薬事申請を行う計画としている。なお、日本国内における申請は、現在検討中としている。(紫音 裕)
▼外部リンク
・グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース