放射線や抗がん剤による副作用
京都大学は9月22日、放射線や抗がん剤による精子幹細胞のDNAダメージによって引き起こされる、アポトーシス経路を解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
研究成果は同大学医学研究科の篠原隆司教授、篠原美都助教、森本裕子研究員、医学部学生の石井慧氏、放射線生物研究センターの高田穣教授、石合正道准教授、福島県立医科大学特命教授の丹羽太貫教授らの研究グループによるもので、2014年9月18日(米国東部時間)に「Stem Cell Reports」に掲載された。
精子前駆細胞での細胞死とは異なる経路
放射線や抗がん剤でのがんの治療の際、精子幹細胞のDNAがダメージを受け、副作用として不妊症になることが知られている。しかし、これまで、DNAダメージを受けた精子幹細胞がどのようにして細胞死を起こすのかは明らかになっていなかった。
そこで研究グループは、不妊マウスの精巣に別個体の精巣細胞の移植を行い、そのコロニー形成能を解析する精子幹細胞移植法、および培養精子幹細胞(germline stem(GS)細胞)を用いて解析を実施。
その結果、精子幹細胞によるDNAダメージはTrp53(p53)-Trp53inp1-Tnfrsf10b(DR5)経路活性化により細胞死が誘導され、分化の進んだ精子前駆細胞で重要となるBbc3(Puma)を介した細胞死の経路とは異なっていることが示されたという。
プレスリリースでは研究成果について、研究者からのコメントとして
この経路の分子を操作することで、抗がん剤治療による不妊の誘発を回避する方法を見出すことができる可能性があることを示唆しています。(京都大学 プレスリリースより引用)
と掲載している。(小林 周)
▼外部リンク
・京都大学 プレスリリース