病棟業務を効率化し、本来の薬剤師業務に集中できる体制を作るため、テクニシャン(調剤補助者)を活用した業務分担の可能性が、9月28日に名古屋市で開かれた日本医療薬学会年会で議論された。国内でもテクニシャンを雇用している医療機関が増加する中、国家資格としてテクニシャンが制度化されている欧米の状況を踏まえ、日本での位置づけや人材確保、責任問題などの課題を整理。業務分担することにより、薬剤師の責任が一層重くなることを確認した(2面に関連記事)
渥美景子氏(聖マリアンナ医科大学病院薬剤部)は、英国で経験した臨床薬剤師業務を紹介。英国では、政府が2000年に薬剤師、テクニシャン、アシスタントのあるべき役割を提唱。薬剤師は、臨床管理や病棟回診、処方監査等を行い、テクニシャンは、医薬品の供給と調剤全般、持参薬の確認等を担当する。特に調剤過程の大部分はテクニシャンが実施、薬剤師は処方監査にかかわるのみだ。
ロボット調剤の推進に加え、粉薬と軟膏の調剤、水剤の混合調剤がないなど効率化が進んでいることが背景にあり、テクニシャンの業務は、服薬指導、点滴の混合、病棟における持参薬管理まで拡大。業務内容は、各医療機関の手順書に定められている。鑑査や病棟業務にかかわる認定・専門テクニシャンを制度化し、特に臨床的鑑査が徹底されている。英国の薬剤師は、患者ケアに時間を割けるとして、テクニシャンの業務拡大の動きを歓迎しているという。