医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 東大医科学研究所 神経と筋肉のつなぎ目「神経筋接合部」を大きくする治療法を創出

東大医科学研究所 神経と筋肉のつなぎ目「神経筋接合部」を大きくする治療法を創出

読了時間:約 1分4秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年09月29日 AM08:00

筋無力症などの治療への応用に期待

東京大学は9月19日、神経と筋肉のつなぎ目である「神経筋接合部」を後天的に拡張する技術を、マウスにおいて創出したと発表した。この研究成果は同大医科学研究所 腫瘍抑制分野の山梨裕司教授、有村純暢助教らによるもの。科学誌「Science」に同日付で掲載されている。


画像はプレスリリースより

この技術は、)、加齢性筋肉減少症(サルコぺニア)など、神経筋接合部の形成不全を伴うさまざまな神経筋疾患に対する新たな治療概念を確立したもので、治療薬開発への応用が期待される。

運動機能改善や延命効果示される

研究グループは、神経筋接合部の形成に必須なタンパク質であるDok-7の発現を増強する手法にアデノ随伴ウイルス(AAV:adeno-associated virus)をベクターとして採用し、ヒトDOK7遺伝子を発現するAAVベクター(AAV-D7)を作製した。

このAAV-D7を正常なマウスに投与したところ、神経筋接合部の拡張が確認されたという。また、DOK7型筋無力症モデルマウスにも投与したところ、正常マウスに投与したのと同様に神経筋接合部の拡張がみられ、運動機能の改善や延命効果も示されたとしている。

プレスリリースは、

今回創出した神経筋接合部の形成増強治療の適応・不適応を筋萎縮性側索硬化症(ALS)や加齢性筋肉減少症(サルコペニア)を含む多様な疾患モデル動物で検証する研究や、臨床への橋渡し研究の推進が急がれます。なお、本治療法は神経そのものや筋肉そのものなど、神経筋接合部以外を標的とする他の治療技術との併用も期待できることを付記します。

と述べられている。(小林 周)

▼外部リンク
東京大学医科学研究所 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか