■スイッチOTC化に影響も
持田製薬の高脂血症治療薬「エパデール」のスイッチOTCとして、日水製薬が昨年4月に発売した「エパアルテ」の販売を中止したことが分かった。販路が小規模な同社では、適正使用調査の登録が難航し、今後も目標とする150例を確保するのが難しいと判断。本格販売を前に販売を取りやめる事態となった。一方、「エパデールT」を販売する大正製薬は「今まで通り変更はなく、今後も販売を続けていく」との方針を示している。生活習慣病領域の日本初のスイッチOTCとして注目を集めていただけに、エパアルテの販売中止は今後のスイッチOTC化の流れに影響を与えそうだ。
エパデールのスイッチOTCは、昨年4月15日から大正製薬が「エパデールT」、日水製薬が「エパアルテ」の製品名で発売を開始した。ただ、エパデールTとエパアルテの服用に当たっては、健康診断等で中性脂肪値が境界領域の範囲の人が対象となり、承認条件として厚生労働省から300例の適正使用調査の実施が義務づけられた。調査は、薬剤師が服用対象となる購入希望者を判断し、服用指導や受診勧奨等を適切に行えるかを確認するためのもので、大正のエパデールTについては、調査期間中、研修を受けた「販売認定薬剤師」のいる店舗でしか発売できないとされた。
また、調査は大正で150例、日水で150例を実施することとされ、大正は全国の薬局のうち約1500店舗、日水は約150店舗での限定販売を開始しており、全てのデータを収集した後に、ようやく正式販売できるという異例の厳しい要件が課せられていた。
こうした中、「健康創造未来研究会」の会員薬局等を中心に販売してきた日水では、適正使用調査の症例数の確保が難航。今夏には適正使用調査を終了させる予定にしていたが、販路が小規模のため、今後も150例の登録数を確保するのが難しいと判断。本格販売を前に販売中止を決断した。エパアルテの服用者に対し、日水は「薬局店頭では、十分説明して服薬を中止していただくようお願いしている」と対応を説明している。
今回のエパアルテの販売中止について、日本薬剤師会の生出泉太郎副会長は、「生活習慣病を対象としたスイッチOTCが期待され、せっかく昨年春に登場したが残念。安全性確保の観点からあまりにも縛りが強かったため、販売方法等が販売者、生活者に理解されにくく、結果として定着しなかったのではないか」とコメントしている。