基本方針では、国内の科学技術の研究現場で研究不正行為が「少なからず発生している」と指摘。中には研究成果について疑義を投げかけるような事案も発生しており、改めて研究不正行為への対応が求められているとした。
研究機関に対しては、研究分野、研究者の地位や役職・責任等の多様性に応じた研究倫理教育を継続的に実施するよう求めた。取り組みの実効性を高めるため、研究の公正性を維持する仕組みを構築し、継続的に評価・改善していく必要性も示した。
また、不正行為の疑い事案の発生に備え、迅速かつ的確に対応する仕組みを整備しておくと共に、研究不正行為と認定された場合、同様の事案が再発することのないよう、発生に至った要因・背景について徹底的に検証を行い、実効性ある対策につなげることも求めた。
研究資金配分機関には、研究資金の申請受理等の際、研究倫理教育の受講を確認するなどして、研究の公正性を高める措置に努めることとし、関係府省には各機関の取り組み内容の確認と評価を行い、不正対策の実効性を高めるよう求めた。
研究開発の司令塔機能を担う総合科学技術・イノベーション会議には、研究機関・関係府省等の取り組みを俯瞰した全体状況の把握を行い、必要な場合には適切な関与を行う必要性を指摘。研究機関の取り組みが一体的に機能するよう、それぞれの研究分野に共通する研究倫理教育に関する情報の収集・共有を図るなどし、研究不正行為への対応を行うよう求めた。
同会議の議長を務める安倍晋三首相は、「研究者の大胆なチャレンジを応援するためにも、あらかじめルールを明確にすることで、実効性のある対応が確保されるよう、関係各府省は不断の取り組みを進めてもらいたい」と述べた。
この日の会議では、来年度予算案の編成過程で、「国際社会の先駆けとなる健康長寿社会の実現」「クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現」など5分野に重点を置き、科学技術関連予算を配分する方針も決めた。この中では、オールジャパンでの医薬品・医療機器創出、革新的医療技術創出拠点プロジェクト等の施策が盛り込まれている。