サガハイマットの3つ目の治療室に導入・設置予定
三菱電機株式会社は9月12日、公益財団法人 佐賀国際重粒子線がん治療財団から、的確なビーム照射で安全性の高いがん治療が期待できる「重粒子線スキャニング照射装置」を受注したと発表した。
画像はニュースリリースより
この新装置は、2017年内にも九州国際重粒子線がん治療センター(SAGA HIMAT:サガハイマット)の3つ目の治療室、「治療室C」に設置される予定となっている。サガハイマットは、2013年5月にオープンした九州初の重粒子線がん治療施設。三菱電機が重粒子線がん治療装置を納入し、運用サポートも行っている。現時点で、すでに300人以上の治療実績があるという。
複雑な形状にも対応、高効率で的確に照射
今回、導入されることとなった重粒子線スキャニング照射装置は、がん病巣の複雑な形状にも対応する精密なビーム照射制御が可能となっているもの。照射精度の向上により、これまで患者ごとの照射調整に必要となっていた腫瘍の形状に合わせて、重粒子線の深度到達範囲を調節したり、がん病巣のみに照射されるよう横方向の範囲を制限したりするための消耗部品が不要で、コスト削減が図れるほか、廃棄物の低減にもつながる仕様になるという。
また高効率ビームを採用することで、加速器で消費される電流の低減も実現される。さらに、細く絞られた重粒子線ビームにより、スポットサイズで的確に照射することが可能なため、患者への負担も少なく、より安全性の高い治療を行える点が特長となっている。
なお製作にあたっては、国立大学法人群馬大学重粒子線医学研究センターおよび独立行政法人 放射線医学総合研究所が持つスキャニング照射技術の知見が生かされる予定としている。(紫音 裕)
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・三菱電機株式会社 ニュースリリース