24か国、1,066名の患者を対象とした試験により
独ベーリンガーインゲルハイムは9月8日、開発中の新規化合物であるニンテダニブについて、特発性肺線維症(IPF)の病勢進行を遅らせることが示されたと発表した。
画像はwikiメディアより引用
この報告は第3相試験であるINPULSIS(TM)試験のサブグループ解析結果に基づくもの。同試験は、二重盲検無作為化プラセボ対照試験で、24か国、1,066名の患者を対象に実施。努力性肺活量の年間減少率に対する有効性を52週間にわたり評価した。
呼吸機能の年間減少率を約50%抑制
試験データの併合解析では、事前に規定された2グループ(ベースラインの努力性肺活量(FVC)が予測値の70%超(n=700)、70%以下(n=361))の呼吸機能の年間減少率を解析。その結果、ニンテダニブによる呼吸機能低下の抑制効果は、いずれのグループでも同程度に認められたという。
また、いずれのサブグループの結果も同試験全体の主要評価項目の結果に一致するものであり、1カプセル1日2回のニンテダニブがより早期の患者、高分解能CT(HRCT)で蜂巣肺が認められない患者、肺気腫を合併している患者などさまざまなタイプのIPF患者において、呼吸機能の年間減少率を約50%抑制することが示されたとしている。
ニンテダニブは、IPF治療薬としてベーリンガーインゲルハイムが開発を進めている低分子チロシンキナーゼ阻害剤。肺線維症の発現機序への関与が示唆されている増殖因子受容体を標的にし、線維化進展プロセスに関わるシグナル伝達経路を遮断することで呼吸機能の減少を抑制し、病勢進行を遅らせると考えられている。(小林 周)