医療用検査薬を一般用にスイッチ化する仕組みづくりを検討している薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会は12日、厚生労働省が示した論点案について議論した。検体採取器具を用いた採血が必要な血液検体の取り扱いをめぐっては、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が、器具の使い回しなどによる感染症の問題や穿刺針を安全に廃棄できるかどうかが懸念されるとして、一般用に拡大することは認められないとの考えを示した。生出泉太郎委員(日本薬剤師会副会長)も血液の採取が必要な検査のスイッチ化に慎重な姿勢を示した。
厚労省が提示した論点案は、検査薬を製造販売する業者からの要望に対して委員の意見などを反映させたもの。侵襲性のない検体や少ない検体の取り扱いをはじめ、▽検体採取器具の使用▽結果が定量的に示される検査項目を対象とすること▽添付文書を含めた使用者への情報提供のあり方▽一般用医薬品のリスク区分における一般用検査薬の位置づけをどう考えるか――などを挙げた。
これまでの議論で、検体については、侵襲性がなく、検査に必要な量を容易に採取できて、特別な器具や処理を必要としない尿と糞便を対象に検討を進めてはどうかと意見が示されている。
ただ、業界が一般用への転用を要望している血液検体を用いた検査については、血液に起因する感染症の問題をはじめ、器具の再使用防止、販売時の情報提供体制を整える必要があり、「難しい」との意見が出ている。
この日の会議では、鈴木委員が血液を検体に用いる検査の問題点をあらためて指摘し、「安易に拡大すべきではない」と主張。
生出委員も、一般の人が用いるのであれば、「侵襲性のない検体で特別な機器を使用しないで判定できる検査がふさわしい」とし、血液検体を用いた検査のスイッチ化は「まだ早いのでは」と述べた。
現在、一般用検査薬として認められている尿糖、尿蛋白、妊娠検査薬の三つは第2類医薬品に分類されており、販売時には薬剤師と登録販売者が対応することになっている。
論点で示された一般用検査薬の位置づけをめぐっては、生出委員が購入者が添付文書をよく読まない可能性があり、口頭で十分な説明が必要になるとし、新たな検査薬については「第1類に準じた情報提供が必要になる」と主張した。