9月17日現在、131例の国内感染症例を確認
厚生労働省は9月16日、感染が拡大するデング熱についての、診療ガイドラインの第1版をとりまとめ、各自治体の衛生主管部に通達した。同ガイドラインは、2014年9月に公開された「デング熱診療マニュアル」を刷新したもの。WHOのガイドライン及びCDCのガイダンスを参考に東京医科大学渡航者医療センターの濱田篤郎氏らによって作成された。
デング熱を疑う目安として、必須所見に(1)突然の発熱(38℃以上)、(2)急激な血小板減少が挙げられ、これに加えて、(1)皮疹、(2)悪心・嘔吐、(3)骨関節痛・筋肉痛、(4)頭痛、(5)白血球減少、(6)点状出血(あるいはターニケットテスト陽性)のうち、2つ以上の所見を認める場合にデング熱を疑う、としている。
有効な抗ウイルス薬はなし。対症療法を
治療について、同ガイドラインでは水分補給や解熱剤(アセトアミノフェンなど)の投与等による対症療法を推奨している。しかし、「アスピリンは出血傾向やアシドーシスを助長するため使用すべきでない。また、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬も胃炎あるいは出血を助長することから使用すべきでない」としている。
また、予防については、これまで報道などで伝えられたように、蚊に刺されないような服装や行動のほかに、医療従事者向け情報として、以下を伝えている。
デング熱は患者から直接感染することはないが、針刺し事故等の血液曝露で感染する可能性があるため充分に注意する。また患者が出血を伴う場合には、医療従事者は不透過性のガウン及び手袋を着用し、体液や血液による眼の汚染のリスクがある場合にはアイゴーグルなどで眼を保護する。患者血液で床などの環境が汚染された場合には、一度水拭きで血液を十分に除去し、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。院内感染予防のための患者の個室隔離は必ずしも必要ない。(厚生労働省 デング熱診療ガイドライン(第1版)より引用)