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塩野義製薬 新規セファロスポリン系抗菌薬の非臨床試験、第1相臨床試験の成績をICAACで発表

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2014年09月17日 PM12:00

S-649266、多剤耐性グラム陰性菌に対して効果

塩野義製薬株式会社は9月9日、同社が創製した新規注射用シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬「S-649266」について、非臨床試験および第1相臨床試験で良好な成績が得られたことを明らかにした。


画像はwikiメディアより引用

この試験結果は、開催中の第54回「Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy(ICAAC)」において発表されたという。試験は、多剤耐性緑膿菌(MDRP)および多剤耐性アシネトバクター(MDRA)、(CRE)などのグラム陰性菌に対する同剤の効果を検証したもの。現在、緊急かつ重大な懸念が生じている多剤耐性菌に対し、新たな治療選択肢になると期待されている。

S-649266は、細菌の成長や増殖に必要となる鉄の取り込み機構に着目して設計された薬剤。シデロフォア構造を持ち、宿主内にある鉄と結合する。細菌が感染宿主から鉄を取り込む際に、鉄と結合したS-649266は、通常の受動的取り込み経路だけでなく、能動的な鉄の取り込みポンプを経由することで、さらに効率よくペリプラズム内に取り込まれる。こうして細菌内のペニシリン結合蛋白に結合し、細菌の細胞壁合成を阻害することで、効果を発揮すると考えられている。

既存注射用抗菌薬よりも優れた抗菌活性、安全性と忍容性も確認

非臨床試験においては、まずS-649266を細菌感染動物モデルでテストした。すると、MDRP、MDRAおよびCREを含む複数の多剤耐性グラム陰性菌に対し、ceftazidimeやcefepimeといった既存の注射用抗菌薬よりも優れた抗菌活性を示すことが確認されたという。

また、セリン型およびメタロ型のカルバペネマーゼに対して高い安定性を示したという。さらにS-649266のヒトにおける1回2g、1日3回、1回1時間の静脈内投与を再現したラット肺感染モデル試験を行ったところ、強力な抗菌活性がみられたことも報告されている。

さらに第1相臨床試験では、健常成人を対象にS-649266の単回投与および反復投与を実施。良好な安全性と忍容性を確認しているという。

塩野義製薬は、こうした良好な試験結果を受け、第2相臨床試験の投薬を今秋にも開始する予定としているほか、来年の2015年には第3相臨床試験開始へと進めることを計画している。なおS-649266は、現在同社で開発中の感染症治療薬の中で、もっとも開発の進んでいる化合物であるといい、製品として早期に患者へ提供可能となるよう、努めていくとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク
塩野義製薬株式会社 プレスリリース

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