■次期改定、24時間対応も軸に
厚生労働省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、本紙のインタビューに応じ、4月の診療報酬改定で病院薬剤師が評価されたことに触れ、「チーム医療を構成している医師や看護師などから評価され、それがフィーにつながっている」と分析。その上で、「在宅医療は、地域のチーム医療」とし、薬局では主治医をはじめとする他の医療職種と連携して適正な薬物療法を24時間体制で提供することが重要とした。また、一般薬や保険医療材料などを取り扱い、医療介護の相談窓口になることも大事と指摘。薬局を“ファーストアクセス”の場にする取り組みを通して、地域で実績を残していく必要性も強調した。
診療報酬改定では、病院薬剤師による抗癌剤の副作用管理を評価する「がん患者指導管理料」が新設されたほか、病棟薬剤業務実施加算の継続が決まり、療養・精神病棟に関する算定制限も4週間から8週間まで緩和されるなど、分業バッシングなどで厳しい結果となった調剤報酬とは異なり、「病院薬剤師は実質プラス改定」との声もある。
中井氏は、病院薬剤師が評価された要因の一つとして、「エビデンスが先かフィーが先かという話になった時に、エビデンスを先に出すというイメージを明確に持っていた」との印象を語り、「患者と接しているから(エビデンスの)データがしっかり出てくる」と分析した。
その上で、「病院も薬局も同じ薬剤師なので、エビデンスは同じように作れるはず」とし、薬局では地域でのチーム医療にしっかり取り組み、実績を残していくべきとした。そのための取り組みとして、「主治医と連携をとって適正な薬物療法の提供に24時間、在宅医療も含めてしっかり取り組む」ことを挙げた。
また、セルフメディケーションを支援する必要性も指摘。かつて、一般薬だけではなく、衛生材料や健康食品などを取り揃えていた頃の薬局では、「最初の医療介護の相談窓口になっていた」とし、「地域の中でこうしたファーストアクセスの地位が確立できると、顔の見える薬剤師になれるので、薬剤師が何をしているかが分かってもらえる」と述べた。
ただ、地域によって医療ニーズは異なるため、「地域包括ケアシステムにおいて、どういう役割を担うべきなのかを自分たちで考え、着実に取り組んでいかないと実績づくりにはつながらない」と指摘した。
2016年度調剤報酬改定については、「この2年でどういう風が吹いて、どういう意見が出てくるのかを踏まえながら考えていくこと」と述べるにとどめた。ただ、「調剤報酬における在宅の推進や薬局の24時間対応という大きな流れは止まらない」との見通しを示した。
薬価制度改革では、焦点となっている新薬創出・適応外薬解消等促進加算の恒久化について、「個人的には必要だと思っているが、支払側、診療側が納得する説明を業界がどのように行うかが重要」との認識を示した。
中井氏は、9月の新薬収載が22品目と多かった上に、日本で開発された新規作用機序の薬剤や、アンメットメディカルニーズに対応した薬剤、原価計算方式が適用された薬剤が多かったことに触れ、「加算の影響なのか、オリジナリティーあふれる薬剤が多く、ドラッグラグはだいぶ解消されているとも感じた」と述べた。
ただ、「これはあくまで個人的な印象」ともし、「業界としてそれを説明するためのデータをどうまとめ、加算のメリットをアピールしていけるかが重要になる」と指摘した。