神奈川県立こども医療センター形成外科の小林部長らと共に
横浜市立大学は9月10日、今までに着目されてこなかったアイデアで、ヒト軟骨を効率的に再生する手法を発見したと発表した。
画像はプレスリリースより
この研究成果は、同大大学院医学研究科 臓器再生医学の武部貴則准教授や谷口英樹教授、神奈川県立こども医療センター形成外科の小林眞司部長らの研究グループによるもの。米科学雑誌「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に現地時間9月9日付で掲載されている。
足場材料や成長因子が不要な培養法
研究グループはまず、ライブイメージングによる軟骨発生・再生プロセスの追尾観察で、成体では血管のない単純な組織である軟骨においても軟骨前駆細胞の分化段階では血管が一時的に存在することを発見したという。
さらに、2011年に同定したヒト耳介由来軟骨前駆細胞と、ヒト臍帯から分離した血管内皮細胞を組み合わせることによって、血管様構造を有する立体組織を自律的に誘導することに成功。足場材料や成長因子などを用いる必要もなく培養でき、そのまま移植実験に利用できる「三次元共培養法」を確立したとしている。
また、この培養法を用いた三次元組織は、一般的な凍結法によって保存することも可能であり、今後、安全性やコストの面で極めて有益な軟骨再生技術となることが期待される。(小林 周)
▼外部リンク
・横浜市立大学 プレスリリース