高コレステロール血症治療薬として開発中
仏サノフィと米Regeneron Pharmaceuticals, Inc. は8月31日、PCSK9を標的とする開発中のモノクローナル抗体薬alirocumabについて、高コレステロール血症患者を対象に実施した4件の第3相臨床試験で良好な結果が得られたことを発表した。なお、結果は同日、2014 ESCで発表された。
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ODYSSEY LONG TERM試験は現在実施中の、心血管系リスクが高いまたは極めて高い高コレステロール血症患者2,341例を対象に、alirocumab 150mgを2週毎に投与し、長期安全性および有効性について検証するプラセボ比較対照二重盲検試験だ。両群の患者は最大耐用量のスタチン治療を、また一部患者ではスタチン以外の脂質低下治療も受けている。全患者の治療期間が1年、約25%の患者が18カ月の治療期間に達した時点で、中間解析を実施した。
主要評価項目である24週目のベースラインからのLDLコレステロール低下率は、alirocumab群で61%低下、プラセボ群では1%の上昇となり有意な差が認められた。52週目のLDLコレステロール低下率、事前に規定したLDLコレステロール管理目標値達成率でも、alirocumabの優位性が示されている。安全性事後解析では、alirocumab群の主要心血管イベント発現割合が、プラセボ群に比べて低い結果となった。
今年末までに米国と欧州で販売承認申請を行う予定
以下3試験でのalirocumab投与患者には、初回投与量として75mgを2週毎に投与、事前規定のLDLコレステロール値に達しない場合150mgに増量投与されている。
ODYSSEI CPMBO2試験は、エゼミチブを比較対照とした二重盲検試験。心血管リスクが高く最大耐用量のスタチン治療を受けながら、LDLコレステロール低下が不十分な720名の患者を対象にした。主要評価項目の24週目、ベースラインからのLDLコレステロール低下率は、alirocumab群で51%低下、エゼミチブ群では21%の低下となったという。
ODYSSEY FH1およびFH2試験では、合計738例のHeFH患者が登録され、alirocumabとプラセボを比較した。全患者が最大耐用量のスタチン治療を、また大部分がエゼミチブの投与も受けていた。主要評価項目の24週目、ベースラインからのLDLコレステロール低下率は両試験ともalirocumab群で49%低下したのに対し、プラセボ群ではそれぞれ9%、3%の上昇となったという。
両社では、これらの良好な結果を受け、今年末までに米国と欧州でalirocumabの販売承認申請を行う予定としている。(紫音 裕)
▼外部リンク
・サノフィ株式会社 プレスリリース