患者の声を受けて、厚生労働省と日本アレルギー学会が大規模調査
アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究班(研究代表者・国立成育医療研究センター・斎藤博久)が2014年2~3月に行った医師・患者双方の大規模全国調査の結果を公表した。この調査は、患者側の要望(厚生労働省疾病対策課アレルギー対策作業班2011年2月会議)を受けて厚生労働省と日本アレルギー学会が協力する形で実現した。有効回答は医師1052人、患者8240人。
調査によると、「アレルギー科」と標榜していてもアレルギー学会専門医でない場合が多く、非専門医でも専門医より多数の患者を診ているケースがあることが分かった。また、「アナフィラキシー経験がある患者に対し、5割しか『エピペン処方』しない」「2~5割が、外用剤を『できるだけ薄くのばす』指導をする」「2割弱は、喘息発作が月1回以上あっても発作予防薬を使わない」など、ガイドラインに外れた治療をする医師が珍しくない実態が明らかになった。ガイドラインと乖離した治療は非専門医だけでなく専門医にも見られた。
ガイドライン準拠すればコントロールできる時代になったのに
今回の結果について、研究代表者の斎藤博久氏は次のように述べている。
「現在のアレルギー診療の水準は、ほとんどのアレルギー疾患はガイドラインに準拠した治療を徹底すれば、症状はほとんどなくなり、健常者とほぼ同じ程度の生活ができるまでにコントロールが可能な時代になっている。患者が安心してアレルギー科標榜医にかかれるようにするには、ガイドラインに準拠した水準の治療が受けられるアレルギー科標榜医の割合を限りなく増やす必要がある」
また、斎藤氏によると、日本アレルギー学会では、非学会員や非専門医に対しても門戸を開き、学会への参加、専門医資格の取得に関する便宜を図り、診療内容の向上に役立つプログラムを提供する考えがあり、専門医に対しては、急速な学問の進歩や標準治療の変化についていけるように再教育プログラムの充実を図る予定とのこと。その手始めとして、第1回総合アレルギー講習会を今年12月に開催。また、学会運営を大会長主導から学会主導に変え、毎年一貫した教育プログラムが実施され医学医療の進歩に資するように計画している。
今回の調査は以下サイトで情報公開している。
⇒『全国のアレルギー治療実態とガイドラインのギャップ』