初のヤヌスキナーゼ阻害剤
ノバルティス ファーマ株式会社は9月2日、稀な血液がんである骨髄線維症に対する治療薬「ジャカビ(R)錠5mg(一般名:ルキソリチニブリン酸塩)」を発売すると発表した。
画像はプレスリリースより
ジャカビは米インサイト社が創製した薬剤で、ノバルティスは米国外における同剤の開発・商業化に関するライセンスを取得している。ノバルティスは、2013年9月に国内で骨髄線維症を適応とする製造販売承認申請を行い、2014年7月4日に承認を取得、9月2日に薬価収載され、同日より販売を開始した。
骨髄線維症は、造血組織である骨髄が線維化することで、正常な血液の産生が妨げられる進行性の血液がん。患者には脾腫や脾腫に伴う腹部不快感、倦怠感・寝汗・体重減少、痒みなどといった消耗性の全身症状、貧血に伴う倦怠感・疲労感などのさまざまな症状が現れる。
病因については十分な解明がなされていないが、血球産生を調節するJAK-STATシグナル伝達経路の恒常的な活性化が大きく関与するとみられている。ジャカビは、JAK1およびJAK2に高い選択性を有し、遺伝子変異の有無に関わらず、このJAK-STAT経路を阻害することで骨髄線維症の諸症状を改善する、初のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤である。
2つの国際共同第3相臨床試験などで有効性と安全性を確認
ジャカビの有効性と安全性は、欧米を中心に行われた2つの国際共同第3相臨床試験であるCOMFORT-1およびCOMFORT-2そして日本も参加したアジア国際共同第2相臨床試験の結果で確認されている。
COMFORT-1、COMFORT-2試験では、ジャカビの投与により、それぞれプラセボ群、既存治療群に対し、骨髄線維症の主要兆候である脾腫を速やかにかつ持続的に縮小すること、またプラセボ群と比較し、骨髄線維症に伴う臨床症状を改善することが確認されたという。アジア国際共同第2相臨床試験でも同様の有効性および安全性が示されている。なおジャカビ投与による主な副作用としては、血小板減少症、貧血などが報告された。(紫音 裕)
▼外部リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース