再審理、賠償金減額の申し立てに対する決定は未だ下されず
武田薬品工業株式会社は9月4日、同社および米子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc.(以下、TPUSA社)は、米国時間9月3日にルイジアナ州西部地区連邦地方裁判所で行われた2型糖尿病治療剤「アクトス(R)」に起因する膀胱がんを主張する製造物責任訴訟において、現地時間4月7日に下された60億ドルの支払いを命じる陪審評決に則った判決が下されたと発表した。同社ならびにEli Lilly and Companyが申し立てている再審理または懲罰的損害賠償金を大幅に減額すべき旨の申し立てに対しては、裁判所はまだ決定を下していないという。
TPUSA社のシニア・バイス・プレジデントで法務部長のKenneth D. Greisman氏は、この判決についてプレスリリースで、
と述べている。
同剤に関しては州裁判所において、これ以前に5件の評決または判決がある。それらすべては同社側の主張が認められており、今回の訴訟は連邦裁判所による連邦広域係属訴訟において、公判に至った唯一の事件であるという。
10年間の疫学研究では、膀胱がん発生リスクの有意な増加は認められず
武田薬品工業はこれに先立ち、現地時間8月28日付で、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)および日本の厚生労働省(MHLW)/医薬品医療機器総合機構(PMDA)など、各国の規制当局に対し、アクトスなどピオグリタゾン含有製剤に関して、市販後に課された10年間の疫学研究の完了に伴い、そのデータを提出したと発表している。
この研究はペンシルベニア大学とKaiser Permanente医療保険グループの研究部門により実施され、ピオグリタゾンを投与された患者において膀胱がんの発生リスクが増加するかを検討するために計画されたもの。研究の結果、過去にピオグリタゾン投与を受けたことがある患者において、膀胱がん発生リスクの統計学的に有意な増加は認められないことが報告されている。
2011年3月にDiabetes Care誌に掲載された5年間の中間解析においては、ピオグリタゾンを2年以上使用した患者では、有意なリスク増加が認められたとしているが、10年間の最終解析では、ピオグリタゾンの長期投与に伴う膀胱がん発生リスクの統計学的に有意な増加は認められていないという。なお、このデータは、必要に応じてさらに多くの国々の規制当局に提出され、2014年中に研究チームによって最終結果が論文投稿される予定としている。(QLifePrp編集部)
▼外部リンク
・武田薬品工業株式会社 米国ルイジアナ州における2型糖尿病治療剤「アクトス(R)」に起因する膀胱がんを主張する製造物責任訴訟の判決について
・武田薬品工業株式会社 オグリタゾン含有製剤に関する市販後に課された疫学研究の完了と各国規制当局へのデータ提出について