EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象とした第2相臨床試験
中外製薬株式会社は8月29日、日本国内で実施したEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する一次治療における第2相臨床試験(JO25567試験)の結果が「The Lancet Oncology」の電子版に8月28日付で掲載されたと発表した。
このJO25567試験は、中外製薬が国内で実施した無作為化第2相臨床試験で、ステージ3B/4もしくは再発の非扁平上皮がんで、EGFR遺伝子変異を有するがん化学療法未治療の非小細胞肺がんの日本人患者154人を対象としたもの。エルロチニブ塩酸塩とベバシズマブ(遺伝子組換え)の併用療法と、エルロチニブの単剤療法について、その有効性と安全性を比較検討した。
主要評価項目は無増悪生存期間で、副次的評価項目は全生存期間、奏効率、QOLおよび安全性となっている。
併用療法における適正使用の推進で新たな治療選択肢としての確立を
主要評価項目である無増悪生存期間中央値は、エルロチニブとベバシズマブ併用群で16.0か月、エルロチニブ単剤群では9.7か月と、併用群で統計学的に有意な延長が認められている。
奏効率では、併用群が69%、単剤群が64%。安全性においては、エルロチニブに特徴的な有害事象であるグレード3/4の皮膚障害が併用群で25%、単剤群で19%、報告されている。また、ベバシズマブに特徴的な有害事象のグレード3/4の高血圧が併用群で60%、単剤群で10%、確認されたという。蛋白尿は併用群で8%確認されたのに対し、単剤群では発現が認められていない。この試験において安全性に関する懸念事項は認められず、安全性プロファイルはこれまでの報告と同様であったという。また、ベバシズマブの併用によるQOL低下はみられていないとしている。
エエルロチニブは、進行性または転移性非小細胞肺がんおよび膵がんの治療に用いられる1日1回経口投与の薬剤。EGFRを阻害し、効果を発揮する。国内では「タルセバ(R)」の販売名で取り扱われている。
ベバシズマブは、腫瘍の増殖と転移に必要な血管新生に関与するVEGFに特異的に結合し、その作用を阻害する抗体医薬品。国内では「アバスチン(R)点滴静注用100mg/4mL」「同400mg/16mL」として販売されている。(紫音 裕)
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース