新ガイドラインでは、研究活動の不正行為に関する基本的考え方として、研究者の自律に基づく自浄作用で対応すべきと指摘。新たに大学等の研究機関が責任を持って不正行為の防止にかかわることで、不正が起こりにくい環境が作られるよう対応強化を規定。特に組織としての責任体制の確立による管理責任の明確化や不正を事前に防止する取り組みの推進を求めた。
不正の事前防止のための取り組みとしては、研究倫理教育の実施による研究者倫理の向上を打ち出した。大学等の研究機関には、「研究倫理教育責任者」の配置など、必要な体制整備を図るとした。
学生への研究倫理教育を進めると共に、競争的資金で行われる研究に参加する全ての研究者に研究倫理教育プログラムを履修させ、受講を確実に確認するとし、不正が行われた事案については、文科省が一覧化して公開する。
不正行為への対応としては、研究活動における不正行為の疑惑が生じたときの調査手続きや方法等に関する規定を整備し、公表する。また、不正行為や管理責任に対する措置としては、新たに組織としての責任体制の確保を規定。研究活動における不正行為への対応体制の整備に不備があることが確認された場合、文科省が管理条件を付ける。
その管理条件が履行されていない場合は、研究機関に対する間接経費を削減するなどの措置を講じるとした。迅速な調査を確保するため、正当な理由なく不正行為に関する調査が遅れた場合にも、間接経費を削減するとした。
さらに、文科省による調査と支援も打ち出し、研究活動における不正行為への継続的な対応として、文科省に有識者による検討の場を設け、フォローアップなどを継続的に実施するとした。大学等の研究機関に対しては、新ガイドラインを踏まえた履行状況の調査を行い、公表するほか、日本学術会議や配分機関と連携し、研究倫理教育に関する標準的なプログラムや教材の作成を推進する。
大学等の研究機関で十分な調査を行える体制にない場合は、日本学術会議や配分機関と連携し、専門家の選定や派遣などを支援するとしている。
今後、新ガイドラインに関しては、周知徹底や規定、体制整備などの導入準備を進める期間を設け、来年4月1日から適用予定。