■「e‐かかりつけ薬局構想」も
厚生労働省医薬食品局の2015年度予算概算要求は、前年度比32・7%増の115億4300万円を計上した。薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点「健康ナビステーション(仮称)」を整備するため、一般用医薬品を含めた全ての医薬品の供給拠点にふさわしい基準の作成や「e‐かかりつけ薬局構想」を検討する。革新薬の実用化促進に向けた審査・安全対策の充実・強化を「推進枠」に位置づけ、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の職員13人増員を要求。社会問題化する危険ドラッグ対策の強化等も盛り込んだ。
医薬食品局の概算要求は、推進枠を生かして大幅な増額を求めた。薬剤師関連では、薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進に2億5100万円を要求。14年度事業の好事例等を踏まえ、来年度も引き続きセルフメディケーション推進に向けた健康情報拠点の整備、在宅医療に関するモデル事業を全国47都道府県で実施すると共に、新規事業として健康ナビステーションの基準作りを検討する経費を計上した。
厚労省は健康ナビステーションについて、▽一般薬を含めた全ての医薬品の供給拠点▽住民の健康づくりの支援・相談機能▽住民自らの健康チェック機能の支援・対応▽多職種との連携▽在宅医療の取り組み――を満たす薬局を想定。来年度に有識者で構成する検討会を立ち上げ、基準の検討を開始する。
電子お薬手帳を活用した「e‐かかりつけ薬局構想」の検討にも着手する。医療用医薬品のみならず、一般薬の服用情報やアレルギー既往歴、禁忌、検査値、体重、運動などの健康情報までを含めた電子お薬手帳の可能性を探る。ソフトウェアの互換性を確保する観点から標準フォーマットも検討し、標準化された電子お薬手帳の方向性を提案するための検討会を来年度に立ち上げる。
●危険ドラッグなど監視体制を強化
また、社会問題化している危険ドラッグなどの薬物乱用対策の推進に12億8900万円を計上。危険ドラッグを販売させない目的で、薬事法に基づく検査命令や販売停止命令を積極的に行うため、現在の10倍の検査に対応できるよう国立医薬品食品衛生研究所の分析体制を強化すると共に、民間検査機関への分析業務の委託を進める。
医薬品等インターネット販売監視体制の整備に1億2600万円を要求。6月に施行された薬事法の一部改正によって、全ての一般薬がネット上で販売できるようになったことから、偽造医薬品に加えて危険ドラッグもネット監視対象とし、現行の監視体制を4倍増の10人体制に増やす。
推進枠と位置づけた革新薬・医療機器の実用化には14年度予算の約2・6倍増となる9億2000万円を要求。革新的製品の実用化を促進するための審査・安全対策の充実・強化として、PMDAで薬事戦略相談を担う人員を4人、市販後安全対策を担う人員を9人の計13人増員する。