■日医、慎重姿勢崩さず
医療用検査薬を一般用にスイッチ化する仕組みづくりを検討している薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会は20日、体外診断薬を製造販売する業界や、一般用検査薬を販売する業界の代表者からヒアリングを行った。
日本OTC医薬品協会や、臨床検査薬の製造・販売業者などで構成される日本臨床検査薬協会などは、一般用検査薬で生活者自身の健康状態が把握できれば、疾病の早期対応、発症予防につながると拡大の意義を強調した。
また、新たな一般用検査の基本的考え方として、尿、糞便、鼻汁、唾液など侵襲性がないか、穿刺血や咽頭拭い液、口腔内擦過などの侵襲性が少ない検体が適当とした。
判定方法については、定性、半定量、定量によるものであって、測定機器を用いる場合は、測定機器側の製品間の差による混乱も生じないよう配慮することが適当との考えを示した。
その上で、検査結果に対する情報提供を充実させるための仕組みとして、▽各検査項目の添付文書記載要領の作成▽販売店向け情報提供資料の作成▽併用する機器の操作方法、検体採取方法、測定結果判定基準の説明書の作成――などを挙げた。検査結果については、定量値であっても薬剤師の関与や、適切な情報提供により、結果に対する理解が深まり、生活者の混乱は防止できるとした。
日本チェーンドラッグストア協会は、スイッチ検査薬の拡大により、日本再興戦略に盛り込まれているセルフメディケーションの推進に大きく貢献すると強調。一例として、糖尿病領域の検査項目HbA1cのスイッチ化を挙げた。また、ドラッグストアで地域住民の健康意識を高めるための店頭活動ができるなどのメリットも示した。
全日本医薬品登録販売者協会は、今後、一般用検査薬が拡大された際に、一般薬の分類に応じて登録販売者が購入者に情報提供を適切に行い、必要に応じて検査結果への相談対応や受診勧奨を行うなどの仕組みを強化する考えを示した。
日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は、海外などに比べて医療機関へのアクセスがいいわが国では、医師の診断を優先するべきとし、スイッチ化の拡大に慎重な姿勢を示した。
日本薬剤師会副会長の生出泉太郎委員は、拡大の方向性に賛同しつつも、自己採血を必要とするなど、侵襲性のある検査については、拙速に進めるべきではないとの考えを示した。
■治療抵抗性喘息、国内初の装置登場
また同日の部会では、薬物治療でコントロールできない重症喘息患者の症状を緩和する「Alair気管支サーモプラスティシステム」(申請者:ボストン・サイエンティフィックジャパン)の承認を了承した。薬物治療抵抗性の喘息の症状を緩和する装置は国内で初めて。
同製品は、高用量の吸入ステロイド薬や長時間作用性β2刺激薬で喘息症状がコントロールできない18歳以上の重症喘息患者で、気管支鏡手技が可能な患者に用いる。
主に高周波電流を用いて気管支を加熱するためのカテーテルと電流を出力するコントローラで構成されており、カテーテルを気管支鏡の鉗子口を通じて気道に挿入し、気管支壁に高周波数電流を流して加熱。気道平滑筋量を減少させることにより、発作時の気道抵抗を減少させて気道反応性を抑制し、喘息症状を緩和させる。
1回につき65℃、10秒間の高周波電流の出力を行う。手技は3回(右下葉、左下葉および両上葉)に分けて実施する。それぞれの手技は通常3週間以上の間隔をあける。
クラス分類はIII。喘息治療に十分な知識と経験を持つ医師が有効性・安全性を理解した上で用いることができるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずることが承認条件として付与された。