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東北大 超音波による血管新生作用を発見

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2014年08月25日 PM08:30

狭心症患者を対象とした医師主導治験実施へ

東北大学は8月19日、同大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授ら研究グループが、ある特殊な条件の超音波に血管新生作用があることを発見、この研究成果をもとに狭心症患者を対象とした医師主導治験を開始したと発表した。


画像はプレスリリースより

下川教授らは、狭心症の虚血組織における血管新生を誘導する低出力体外衝撃波治療の開発・臨床応用研究を、約15年前から進めてきていたという。この低出力体外衝撃波治療は、2010年に先進医療として承認も得ている。

だが実用化の観点からは、衝撃波の空気層において膨張する性質上、注意深い操作が必要とされることや、装置の小型化が難しいことなど、課題も多かった。そこで、すでに世界中で用いられており、安全性も確立されている超音波に着目。これに血管新生作用がないか検討を行った結果、ある特殊な条件の超音波では血管新生作用があることを発見した。この研究成果は米国心臓協会学術集会での発表を経て、8月11日付で「PLOS ONE」に掲載されている。

重症患者や高齢者にも負担が少なく、他の虚血性疾患への応用にも期待

研究グループは、まず様々な照射条件の超音波をヒト由来の培養血管内皮細胞に照射し、主な血管新生因子の1つである血管内皮増殖因子(VEGF)の発現に対する効果を検討した。そして、最適な超音波照射条件を突き止め、この照射条件の超音波を、虚血性心疾患モデルのブタの心臓に照射。すると虚血領域の毛細血管数が増加し、心筋の血流や収縮力に改善がみられた。

この超音波治療の効果は、先に下川教授らが開発し、先進医療として承認を得ていた低出力体外衝撃波治療と同程度であったという。治療に用いる超音波の出力は、現在臨床現場で診断に用いられている出力の範囲内であり、安全性に対する懸念はほとんどないとしている。

この研究成果から、厚生労働省の承認を得て、昨年度から下川教授が代表研究者となり、重症狭心症患者を対象とした多施設共同の医師主導治験を開始したという。治験は、内服薬などによる十分な治療を受けているにも関わらず、狭心症発作がある患者で、かつカテーテル治療や冠動脈バイパス手術による改善が見込めない患者を対象としている。

現在、東北大学病院臨床研究推進センターによる全面的支援のもと、全国8施設で進行中だ。この治療法は、重症患者や高齢者にも負担が少ない低侵襲性治療であるほか、他の虚血性疾患への応用も期待できるものであり、今回の治験で有効性を示すことができれば、世界的にも大きな注目を集めるものとなるとみられている。(紫音 裕)

▼外部リンク
東北大学病院 臨床研究推進センター/東北大学大学院医学系研究科 プレスリリース

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