新たな指針では、「携帯電話端末は、ますます生活に不可欠なものとなっており、患者の利便性・生活の質の向上のためには、医療機関でも患者や面会者等の携帯電話使用は可能な限り認められることが望ましい」と、これまでの方針から大きく転換。その上で、医療機関内のエリアごとに、通話やメール・インターネット閲覧に対する考え方を示した。
待合室や個室の病室、食堂などでは、マナーに配慮しつつ、通話、メール、ウェブの閲覧とも可能とした。多人数の病室では、通話を制限するといった配慮が望ましいと指摘した。
診察室では、診察の妨げになるため携帯電話の使用は控えるなどの配慮が望ましいとした。ただ、診断装置などの医療機器から一定の距離を離した場合には、電源を切る必要はないとした。
一方、手術室や集中治療室(ICU等)、検査室では、「生命維持管理装置など、医療機器に影響が発生した場合のリスクが非常に大きいものが多くある」ことから、原則禁止にすべきとした。携帯電話端末は待ち受けの状態でも電波を発するため、電源を必ず切ることも求めた。
また、端末に備わっているカメラ機能については、プライバシー保護や情報管理のため原則禁止が適切とした。
医療機関での携帯電話等の使用をめぐっては、これまで、医療機器の電磁的耐性に関する薬事法に基づく規制、1997年に不要電波問題対策協議会(現・電波環境協議会)から公表された指針などを総合的に勘案して、各医療機関において独自にルールが定められてきた。
97年に策定された指針は、携帯電話の電波が医療機器の誤作動を招く恐れがあるとして、病院の建物内では電源を切ることを求めていたが、端末の性能が向上し、当時より弱い電波でも通信できるようになったほか、医療機器側も、電波の影響を受けにくくする対策が進み、指針が見直されることになった。