トランスポゾンの一種を用いることで成功
京都大学iPS細胞研究所CiRAは8月18日、トランスポゾンの一種であるピギーバックベクターを用いた遺伝子導入によって、血友病Aモデルマウスの血液凝固機能を改善することに成功したと発表した。
画像はプレスリリースより
これは、同研究所初期化機構研究部門の堀田秋津助教の研究グループが、奈良県立医科大学の松井英人講師らと共同で行った研究の成果。この研究成果は、米科学誌「PLOS ONE」に8月15日付で掲載されている。
全長型F8遺伝子を血友病Aモデルマウスに導入
血友病の主な治療法には、欠乏している血液凝固第8因子タンパク質製剤の投与があるが、重度の場合は数日ごとに投与を繰り返す必要がある。そのため、長期間にわたり安定して第8因子をつくる遺伝子(F8遺伝子)を発現させ、第8因子を分泌させる遺伝子治療が可能となれば、患者のQOL向上に寄与することが期待される。
今回の研究では、ウイルスベクターでは大きすぎて導入できなかった全長型F8遺伝子を、ピギーバックベクターを用いることで、血友病Aモデルマウスに導入に成功。その結果血液凝固機能が回復していることが確認されたという。
プレスリリースでは
今回の研究により全長型F8遺伝子を送り届けて安定的に発現させることができることが分かりました。この方法が将来的に、血友病などの遺伝子治療に貢献できると考えられます。(京都大学iPS細胞研究所CiRA プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
・京都大学iPS細胞研究所CiRA プレスリリース