生合成経路明らかに
東京大学大学院農学生命科学研究科は8月8日、4-メチルオキサゾリンを含むペプチド化合物の生合成機構を解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
この研究成果は東京大学大学院農学生命科学研究科と産業総合研究所の研究グループによるもの。
研究グループは、土壌細菌である放線菌が産生する非リボソームペプチドであるJBIR-34, 35の生合成遺伝子群を同定し、生合成経路を明らかにしたという。アルファメチルセリンを基質として用いる非リボソームペプチド合成酵素の同定は、今回の研究が初であり、非リボソームペプチドの合成用に使われるアルファメチル-L-セリン合成酵素を詳しく解析したのもこれが初めての例となる。
新規医薬品開発へ
JBIR-34, 35は、4-メチルオキサゾリンという珍しい環構造を有している。研究グループはJBIR-34, -35の生合成遺伝子群を同定し、生合成経路の解析に取り組んだ結果、4-メチルオキサゾリンがアルファメチル-L-セリン由来であること、アルファメチル-L-セリンがD-アラニンから合成されることを明らかにしたとしている。
また、同研究により、アルファメチル-L-セリンを取り込む非リボソームペプチド合成酵素やアルファメチルセリン合成酵素を同定できたことから、4-メチルオキサゾリン環を有する新しい非リボソームペプチドをゲノムマイニングにより見いだすことが可能となったという。
これは、遺伝子工学的手法によって生産することのできるペプチドのレパートリーの拡張に役立つものであり、将来的に新規医薬品開発への貢献が期待でき、基礎・応用の両面から重要なものだとしている。(浅見園子)
▼外部リンク
・東京大学大学院農学生命科学研究科 研究成果