化学療法との併用で有用性認められる
スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュ(ロシュ社)は8月6日、プラチナ製剤を含む化学療法に対し抵抗性を示す再発卵巣がんの女性患者の治療として、同社の「アバスチン(一般名:ベバシズマブ)」の使用を欧州委員会が承認したと発表した。パクリタキセル、トポテカンまたはペグ化リポソームドキソルビシンによる化学療法との併用となる。
今回の承認は、プラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がんの女性患者に対し行われた第3相臨床試験であるAURELIA試験(AURELIA試験)の結果に基づくもの。同試験では、化学療法またはアバスチンと化学療法の併用療法を比較。その結果、併用療法で無増悪生存期間中央値が3.4か月から6.7か月(ハザード比0.38、p<0.0001)と約2倍に延長したという。
VEGFを標的に阻害する抗体医薬品
卵巣がんは、腫瘍の増殖と転移に関連するたんぱく質、血管内皮増殖因子(VEGF)の濃度増加を伴うことが分かっている。また、複数の試験により、卵巣がん患者における高濃度のVEGFと腹水の発現、疾患の増悪、予後不良との関連性も示されている。
アバスチンはVEGFを標的とし、阻害する抗体医薬品であり、その特異性から副作用による影響は限定的で、化学療法や他のがん治療を広い範囲で効果的に組み合わせることが可能となるという。(太田みほ)
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース