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厚生労働科学研究班、民間病院、初の検査値提供「薬局で患者情報を共有化へ」―厚労研究班が検討開始

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2014年08月18日 AM09:42

薬局薬剤師が慢性疾患の外来患者の臨床検査値情報等を共有し、処方変更につながった事例を解析するため、今月から厚生労働科学研究班「地域のチーム医療における薬剤師の本質的な機能を明らかにする実証研究」(代表:今井博久国立保健医療科学院統括研究官)が調査をスタートさせた。地域医療において薬剤師が患者情報を共有することにより、処方変更提案を行い、切れ目のない質の高い安心、安全な薬物療法の提供を目指す。大学病院を中心に、院外処方箋に検査値を表示する動きが広がっているが、民間病院グループから広く各地域の保険薬局に検査値情報が提供されるのは初めてと見られる。

昨年度に終了した厚労研究では、処方変更の提案がチーム医療における薬剤師の本質的な役割の一つとされ、質の高い薬物療法を提供するための方策として、有用なことが分かった。

そこで新たな研究班は、処方変更提案の役割を果たすためには、検査値等の患者情報の共有が不可欠とし、医療機関から提供された検査値情報に基づく疑義照会を行い、処方解析等によって得られた具体的なアウトカムを検討する。患者参加型の薬物療法を実践し、その成果を今後のリフィル処方等の日本型CDTM(共同薬物療法管理)構築につなげるのが狙いだ。

実証研究は、関東を中心に展開する民間病院「IMS(イムス)」グループと同グループの処方箋を応需している保険薬局、さらに地域薬剤師会の協力を得て実施する。IMSグループ病院の医師が発行した処方箋に検査結果報告書を挟み、それを持参した患者が保険薬局で報告書を手渡した場合、薬剤師が検査情報を収集し、コピーや調剤録への記載で保存。報告書は患者に返却する。

薬局薬剤師は、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常症等の慢性疾患に関連する検査情報に基づき処方を解析し、用量調整や処方薬の追加、削減等の必要な処方提案を実施する。

その結果、患者のベネフィットや医療費削減等、得られた具体的なアウトカムを検討し、リフィル処方等の日本型CDTMの足がかりにすることで、地域医療における薬剤師の本質的な役割発揮につなげる。

当面は、埼玉、千葉、東京、神奈川のIMSグループ病院と地域薬局から開始し、宮城では一般病院、開業医を対象に研究を進めていく。今後は協力が得られる全国の薬局も対象にしていく予定である。

これまで検査値情報の提供は、大学病院が院外処方箋に表示する方式を中心に広がってきたが、今回の研究は、民間の市中病院から検査値情報を提供することにより、地域で薬局薬剤師が処方提案を通じ、医師の指導のもと、草の根的に薬物療法の共同管理を広げていく初めての試みとなる。

研究代表者の今井氏は「検査結果等の患者情報の共有化は患者にとってもメリットが大きく、共有できなければ、薬剤師の専門性を発揮することはできない。地域医療の中で患者参加型の薬物療法を進めるため、薬剤師の本質的な機能を明らかにし、日本型CDTMの構築を目指したい」と話している。

 

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