日本化学療法学会からの再開発要望をきっかけに開発着手
グラクソ・スミスクライン株式会社は8月13日、ポリペプチド系抗生物質製剤「コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム注射剤(一般名:コリスチン注射剤)」について、厚生労働省に対し、同日付で多剤耐性緑膿菌感染症を対象とする製造販売承認申請を行ったと発表した。
画像はwikiメディアより引用
同剤については、多剤耐性緑膿菌由来の感染症治療薬として、社団法人日本化学療法学会から再開発要望が厚生労働省に提出されていた。同省は要望を受け、有識者らによる未承認薬・適応外薬検討会議において審議し、コリスチン注射剤を医療上の必要性が高い薬剤と判断、開発企業の公募を行っていた。
GSKはこの公募に応じ、一般社団法人未承認薬等開発支援センターからの助成金を受けて開発に着手。今回の承認申請にいたった。
多剤耐性緑膿菌感染症の最終救済薬として再評価
コリスチン注射剤は、国内において1990年代の半ばまで臨床に供されていたが、使用量の減少に伴い、承認削除となっていた。しかし、近年になって緑膿菌の多剤耐性化が進行、治療薬の選択肢は限られており、臨床上大きな問題となっている。国内外のガイドラインにおいては、多剤耐性緑膿菌感染症に対する治療薬の最終救済薬として再評価されている。
GSK社長のフィリップ・フォシェ氏は、プレスリリースにて、
「本邦では多剤耐性緑膿菌感染症に対する治療薬は、欧米に比して選択肢が限られているのが現状で、GSKはこの事態を深刻に受け止め、開発に着手しました。本剤が一日も早く日本における治療選択肢の一つとなり、患者さんの治療に貢献できることを期待しています」(グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリースより引用)
と述べている。(紫音 裕)
▼外部リンク
・グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース