第3相臨床試験、速報結果ではOSの延長達成ならず
エーザイ株式会社は8月8日、進行非小細胞肺がんの患者を対象とした「エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン(R)」の第3相臨床試験(302試験)速報結果を公表した。
302試験では、プラチナ製剤の併用療法を含む、2レジメン以上の前治療後に増悪した進行非小細胞肺がん患者540人を対象に、エリブリン単剤治療と主治医が選択したドセタキセル、ペメトレキセド、ゲムシタビンおよびビノレルビンのいずれか1剤投与による治療の有効性・安全性を比較するもの。多施設共同、非盲検無作為化試験としてデザインされている。
発表された速報結果によると、試験の主要評価項目である全生存期間(OS)の延長は達成されなかったという。OSの中央値は両群ともに9.5か月だった。なお、エリブリン投与群で確認された主な有害事象は、食欲減退、好中球減少症、脱毛症、悪心、疲労などで、これまでの投与で認められた安全性プロファイルと同様であるとしている。
抗腫瘍活性は確認済み、さらなる解析を実施中
今回の速報結果について、エーザイプロダクトクリエーションシステムズ オンコロジー創薬ユニットの野本研一プレジデントは、「主治医選択治療群と比較して OS の改善は見られませんでしたが、エリブリンの抗腫瘍活性は認められており、現在、試験結果の更なる解析を進めています」とコメントしている。この302試験の詳細な結果については、今後学会などで発表する予定だという。
エリブリンは、エーザイ自社創製の新規作用機序を有するハリコンドリン系微小管ダイナミクス阻害剤。転移性乳がんの治療薬として、2010年11月に米国で最初の承認を取得している。その後、現在までに欧州、日本、アジアなど50か国以上で承認されている。(紫音 裕)
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