米では3つ目の適応症に
独バイエル ヘルスケア社は7月30日、米国食品医薬品局(FDA)が「アフリベルセプト硝子体内注射液(販売名:EYLEA(R)、アイリーア(R))」について、「糖尿病黄斑浮腫(DME)」を適応症とする承認を行ったことを発表した。
画像はwikiメディアより引用
アフリベルセプト硝子体内注射液は、ヒトVEGF受容体1と受容体2の細胞外ドメインの一部をヒトIgG1のFcドメインと融合させた遺伝子組換え融合タンパク質で、硝子体内投与が可能となるよう等張化された注射液。アフリベルセプトが、可溶性のデコイ受容体としてVEGF-Aと胎盤成長因子に結合することで、本来のVEGF受容体への結合および活性化を阻害する。
また同剤は、滲出型加齢黄斑変性、および網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫による視力障害の適応で、世界各国における承認を取得してきている。今回、DME治療薬として承認を取得した米国では、これが3つ目の適応症となった。
2本の第3相臨床試験で有意な改善を確認
DMEに対する承認は、862人の患者を対象とした2つの第3相臨床試験、VISTA-DME試験とVIVID-DME試験の結果に基づいてなされた。これら試験では、アフリベルセプト2mgを4週ごとに投与する群、アフリベルセプト2mgを4週ごとに5回投与し、その後は8週ごとに投与する群、対照群としての黄斑レーザー光凝固術を施行する群のいずれかに、患者らはランダムに割り付けられている。
この状態で1年後の最高矯正視力(BCVA)の平均変化量をETDRS視力表で測定すると、両試験において、アフリベルセプトを投与した群では、対照群に比べ有意な改善が認められたという。いずれの試験でも、アフリベルセプト硝子体内注射液を投与した2群では、平均してETDRS視力表で約2行の改善が見られ、一方の対照群ではほとんど変化なしという結果になっている。
忍容性は概ね良好であり、試験治療下で発現した有害事象、眼の重篤な有害事象、眼以外の重篤な有害事象の発現率は、レーザー治療群を含む全ての群で同様であったことも報告されている。
今回の承認申請は、日本を含むアジア・太平洋地域、ラテンアメリカ、欧州においてもなされている。また、日本では病的近視における脈絡膜新生血管の治療薬としても承認申請中だ。さらに、欧州および米国では、網膜静脈分枝閉塞症に伴う黄斑浮腫による視力障害の治療薬としても、承認申請が行われている段階という。(紫音 裕)
▼外部リンク
・バイエル薬品株式会社 ニュースリリース