■薬価は実勢価格把握の議論を
厚生労働省の唐澤剛保険局長は6日、専門紙の就任会見で、国民皆保険を守り、地域包括ケアの推進につながる医療保険制度会改革を行うことが同局の重要な役割になると強調。その上で、地域包括ケアに携わる医療職種の中で「薬剤師は重要な一員」と述べ、在宅領域などでの今後の薬剤師の活躍に期待を寄せた。
唐澤氏は、局長就任に当たり、「第一に国民皆保険を守っていくことに不動の姿勢で臨んでいきたい」と述べた。
そのために取り組むべきこととして、地域包括ケアの推進を挙げた。また、長寿化や出生率の低下を背景とした超少子高齢社会で安心して暮らせる地域づくりを進めることもテーマの一つに挙げた。
地域包括ケアについては、「多様な職種による多数のサービスがマネジメントされて適切に提供されるチーム医療介護で、メンバーの間に緊密な連携が必要」と指摘。構築するメンバーには、「薬剤師や栄養士、リハビリテーションなど、いろいろな職種が入るが、薬剤師はその中の重要な一員になる」との認識を示した。
その上で、残薬確認の例を挙げ、服薬指導を行った患者の中には、「しっかり服用している」とするものの、実際は適正に服用していなかったというケースが多いことに触れ、「飲んでいるのに症状が改善しないということがあるのか」と、服薬指導の実効性をこれまで以上に上げていく余地があるとし、「そうした面でも、これからの地域包括ケアの中で薬剤師の役割は大きい」と述べた。
一方、政府の骨太方針に盛り込まれた薬価の頻回改定については、改定の頻度だけではなく、市場実勢価格を正確に反映した改定を適切に行うための方法を中央社会保険医療協議会で議論してもらうことになるとした。
「頻度をどうするかという話よりも、価格というものについて、適切な調査期間を経て、しかも精度高く把握することができるかという問題があるので、それがしっかりできればそれに応じた期間で薬価の改定ができるということだと思う」と述べた。
その上で、薬価改定は「予算制度とつながっているので、年度単位でしかできないと思う」としながら、「市場実勢価格を把握し、それを反映した改定を適切に行うためには、どういう方法がいいのかという議論をしてもらうことになるのでは」と見通した。