各国の腰痛治療ガイドラインで第一選択薬となっているアセトアミノフェン
急性腰痛に対するアセトアミノフェン投与はプラセボ薬と比較して、回復に要する日数、痛みの程度、腰部の機能、睡眠の質やQOLの改善で同様であるとの報告が、豪シドニー大学 ジョージ国際保健研究所のクリストファー・ウィリアムス博士ら研究チームによって発表された。この研究結果は、専門誌「ランセット(The Lancet)」オンライン速報版に7月24日付で掲載されている。
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アセトアミノフェンは、世界各国のガイドラインにおいて、急性腰痛に対する鎮痛剤の第一選択薬とされている。しかし、その有効性を裏づける高度なエビデンスは、これまで示されていなかった。そこでウィリアムス博士らは、その検証を目的とした二重盲検試験を行った。
4週間後、やはり有意な差は認められず
試験は2009年11月から2013年5月の間、シドニーの235施設で行われ、急性腰痛を患う対象を以下の3群に分けて評価した。
- 第1群(550例):アセトアミノフェンを日に3度服用(1日当たり最大3,990mgまで)
- 第2群(549例):アセトアミノフェンを痛みが出た際に頓服(1日当たり最大4,000mgまで)
- 第3群(553例):プラセボを服用
治療期間は腰痛が回復するまでまたは4週間とし、治療後3か月間にわたりフォローアップが行われた。回復の定義は、痛みのスコアが0または1の状態が1週間続くこととした。また、全ての群に対して、ガイドラインに基づいた指導が行われた。
その結果、回復までの日数は、第1群で17日(95% CI 14-19)、第2群で17日(95% CI 15-20)、第3群で16日(95% CI 14-20)となり、ハザード比、服薬アドヒアランス、有害事象においても、各群の間に差は見られなかった。さらに短期の痛み、機能障害、睡眠の質、QOLについても、差は認められなかったという。
これらの結果から研究チームは、急性の腰痛においてアセトアミノフェンは、回復時間に影響を及ぼさないことが示唆されたとまとめている。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
・Efficacy of paracetamol for acute low-back pain: a double-blind, randomised controlled trial