投薬段階で別の患者に医薬品を投与したりするなどの医療事故件数が多いことを受け、総務省が改善措置を勧告。厚労省は5月と6月に医療監視員の研修会を開き、都道府県等に対して、2014年度の医療機関への立入検査時に、医薬品安全管理責任者による業務の定期的確認を徹底するよう指導を要請した。
総務省は昨年8月、同省が行政評価を行うために調査を実施したところ、投薬段階で別の患者に医薬品を投与したりするなどの医療事故件数が多かったことから、医薬品の安全管理対策に関する改善措置を講じることが必要と判断。医薬品にかかわる医療事故を防ぐため、医療機関で業務手順書に基づき安全に取り扱うことができているかの確認を、患者への投薬段階まで徹底するよう厚労省に勧告した。
さらに、総務省の調査によると、医薬品業務手順書を作成している122医療機関のうち51医療機関で医薬品安全管理責任者による定期的な確認を行っておらず、定期的な確認が行われていた71医療機関のうち32医療機関では、患者に投薬する段階までの確認は行っていなかった。
また、定期的に医薬品安全管理責任者による確認を行っていない51医療機関に対して、地方厚生局や都道府県等による立入検査の実施状況を見たところ、業務手順書に基づく医薬品取り扱い業務の定期的な確認について指摘されていたのは2医療機関のみであることが判明。
さらに、医薬品安全管理責任者によって業務の定期的な確認が行われているかどうか立入検査を実施した結果について、厚労省が都道府県等からの報告を特段要請していないことを問題視し、改善措置を求めていた。
これを受け、厚労省は、5月と6月に開催した都道府県等の医療監視員への研修で、今年度の医療機関への立入検査時に、医薬品安全管理責任者による定期的な確認を徹底するよう指導を行うことを都道府県等に対して要請すると共に、定期的な確認を患者の与薬段階まで確実に行うよう指導することを求めたとする改善措置を報告した。
また都道府県等に対し、立入検査時に医薬品安全管理責任者による定期的な確認が行われているか実施状況の検査を徹底するよう医政局長通知で要請すると共に、立入検査の実施結果を報告するよう要請したと改善措置を回答した。