タンパク質の注射で血糖コントロール
日本を含め、世界中の国で多くの人が抱える健康問題、2型糖尿病。この糖尿病に関する画期的な調査結果が発表されました。アメリカ・ソーク研究所が発表し、専門誌「Nature」に掲載された論文によると、特定のタンパク質を2型糖尿病のマウスに注射すると、2日間以上正常な血糖値を維持することができたそうです。
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副作用もなく、インスリン抵抗性も改善
このタンパク質、FGF1が画期的とされるのは、血糖値そのもののコントロールだけが理由ではありません。インスリン抵抗性を改善することも、注目を集めている理由の1つです。
調査チームでは、FGF1を糖尿病で肥満のマウスに注射し、このタンパク質が代謝にどのように影響するかを観察しました。これまで、FGF1を健康なマウスに注射する実験は行われていましたが、なんの変化も見られませんでした。ところが、糖尿病のマウスに対しては、確かな効果が見られたのです。さらに一度の注射で血糖値が正常範囲内に低下したことは、研究チームの面々を驚かせました。
また、これまでの糖尿病治療薬では、体重の増加や肝機能低下などの副作用が見られるものもありましたが、FGF1ではそのような副作用が見られませんでした。FGF1の研究は始まったばかりですが、副作用のない糖尿病治療として、臨床で役立てられる日が待ち望まれています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
・One injection stops diabetes in its tracks
・Endocrinization of FGF1 produces a neomorphic and potent insulin sensitizer