田村憲久厚労相は4日、社会問題化する危険ドラッグ対策について、「危険ドラッグを販売することは社会的に許されない」と強調。「リスクと利益を勘案して、販売することが損になるような環境整備を進めていきたい」との考えを示した。危険ドラッグ対策の閉会中審査を行った衆院厚生労働委員会で、中島克仁議員(みんな)の質問に答えた。
危険ドラッグをめぐっては、東京・池袋で男が運転する車が暴走して歩行者を死傷させる等、危険ドラッグにかかわる事故が相次ぐ中、厚労省は、指定薬物の緊急指定を急いだり、指定薬物の疑いがある物品に検査命令できる薬事法76条の6の規定を適用し、危険ドラッグを販売できなくする対応を打ち出している。
この日の委員会では、長妻昭(民主)、山井和則(民主)、中島克仁(みんな)、高橋千鶴子(共産)の各議員が「危険ドラッグ対策として薬事法改正が必要である」と相次ぎ指摘し、政府の姿勢を質した。
田村氏は「物質を特定できないと難しい」と難色を示し、現行法で対応していく方針を強調。「指定薬物の緊急指定、薬事法第76条の6の適用で検査命令をかけることで、まず販売させない。ありとあらゆる対応をとって、危険ドラッグの撲滅に全力を尽くす」と強い決意を示した。
中島議員は、田村氏が意欲を示す麻薬取締官の増員等の麻薬取締部の体制強化には、来年度の予算措置が必要なことから、「法改正をいつごろ、どこまで行うのか示せないか」と迫った。
田村氏は「業者にとって危険ドラッグを販売することが損となるような環境を作っていきたい」との方針を示した。
■事故原因、7割以上が未規制薬
また、警察庁は、危険ドラッグによるものと疑われる交通事故が、昨年度に23件発生し、そのうち未規制の薬物による事故が17件(74%)を占めることを明らかにした。今年上半期も既に33件発生し、未規制の薬物による事故が26件(79%)を占めていた。
2012年度から今年上半期までに、危険ドラッグの使用による死亡が疑われる事案が41人に上ることも判明。ただ、危険ドラッグによる事件の起訴率は、わずか18・9%にとどまっていた。