「ランタス」と同等の血糖コントロールを達成
サノフィ株式会社は7月29日、同社が開発中の新規基礎インスリンである持効型溶解インスリン グラルギン「HOE901-U300(遺伝子組換え注射剤、300U/mL)」(以下「U300」)について、同日付で厚生労働省に対して製造販売承認申請を行ったと発表した。
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申請は、日本人の1型および2型糖尿病患者を対象に実施した、U300の有効性と安全性を検証するEDITION JP IおよびJP II試験を中心とした6つの第3相試験からなるEDITIONプログラムの結果に基づいて行われたという。同プログラムには、約3,500人の患者が参加した。
EDITION JP I試験およびEDITION JP II試験では、U300が持効型インスリン「ランタス(R)(インスリン グラルギン(遺伝子組換え)注射剤、100U/mL)」(以下「ランタス」)と比較して、同等の血糖コントロールを達成することが確認されたほか、夜間低血糖および1日の低血糖の発現率が一貫して低いことが示されたという。また、体重増加も小さいという結果が得られたとしている。
使い捨てタイプのキット製剤を販売予定
U300は、ランタスの有効成分であるインスリン グラルギンをベースとした新規インスリン製剤。投与部位からの吸収がよりゆるやかで、ランタスと比べても、さらに平坦かつ持続的な血中濃度および血糖降下作用の推移を示すものと期待されている。
サノフィは、使い捨てタイプのキット製剤を販売する予定で、投与量の設定方法などは既存のインスリンキット製剤(ランタス注ソロスター等)と同様となる見込みとしている。なおU300は、現時点では世界のいずれの地域でも未承認、未認可の段階にある。
糖尿病においては、個々の患者の病態にあわせ細やかな治療を行っていくことが求められる。経口剤から注射剤まで、幅広い治療選択肢が存在するが、インスリン治療も有効な選択肢であることに変わりはない。
しかし、インスリン治療中の糖尿病患者において、血糖管理目標を達成できているのは、半数以下であるとの報告もある。同社は、U300はランタスと比べて注射液量が少なく、1日を通じ一貫して低血糖を抑えられるなど、メリットが大きく、こうした血糖管理におけるアンメットメディカルニーズに応えるものであり、より効果的な新規基礎インスリンとなる可能性があるとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
・サノフィ株式会社 プレスリリース