理研、群大らとの共同研究により
長崎大学は7月23日、てんかんや多動症の発症に関与する新たなシナプス制御のメカニズムを発見したことを発表した。
画像はプレスリリースより
研究成果は、同大学医歯薬学総合研究科の有賀純教授、理研脳科学総合研究センターの富岡直子前研究員、群馬大学医学系研究科の安田浩樹准教授らによるもので、英電子ジャーナル「Nature Communications」に7月22日付で掲載された。
ELFN1がmGluR7と結合、抑制性ニューロンのシナプス可塑性を制御
研究グループは、抑制性ニューロン上の興奮性シナプス後部に存在している膜タンパク質であるELFN1が、代謝共役型グルタミン酸受容体のmGluR7と結合して前シナプスへの集積を引き起こし、抑制性ニューロンのシナプス可塑性を制御していることを発見した。また、ELFN1欠損マウスを作成し行動の観察や脳波の測定を行ったところ、脳の過活動が生じていることが示されたという。
さらに、てんかん患者・多動症患者のDNAを用いてELFN1の遺伝子変異を調べた結果、一部の領域に集中してELFN1の機能を損なう変異が存在していることが見いだされた。よって、ELFN1遺伝子の変異が、てんかん・多動症のような脳の興奮抑制バランスの乱れを背景とした病態に関係する可能性が示されたとしている。
プレスリリースでは
研究グループでは今後、ELFN1がmGluR7以外にどのような分子と関係を持つのか、あるいは、ELFN1と類似する膜タンパク質群が多くの薬の標的となっている代謝共役型受容体群を制御するのかどうかについて検討する予定です。(長崎大学 プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
・長崎大学 プレスリリース