厚生労働省は23日、結核患者への服薬確認等の患者支援を強化するため、保健所と医療機関・薬局等との連携協力について感染症法に規定する見直し案を厚生科学審議会結核部会に示し、了承された。地域連携によって直接服薬確認療法(DOTS)を実施している自治体では実施率が高いことを踏まえ、地域連携を法律に明記することで、さらにDOTSを推進し結核患者の治療完了の徹底を目指す。
DOTSは、結核患者に確実に抗結核薬を服用させるため、保健所の保健師等の患者の家庭訪問指導、地域の医療機関、薬局等の協力を得て、服薬確認を軸とした患者支援を実施するもの。厚労省は「結核に関する特定感染症予防指針」で、2015年までにDOTS実施率を95%以上とする目標を掲げているが、12年時点では実施率が86%にとどまっていることから、さらにDOTSを推進する必要があると判断。
そこで、地域連携によってDOTSを実施した自治体では、それ以外の自治体に比べて実施率が高かったとの厚労科学研究の結果を踏まえ、地域連携の強化と普及がDOTS実施率の向上につながるとして、服薬確認を軸とした患者支援を地域全体で進め、結核患者の治療完了の徹底を図るため、保健所と医療機関・薬局等との連携協力について感染症法に規定する方針を決めた。
実際、厚労省が全国140自治体に対し、地域連携によるDOTS実施率の差について調査を行ったところ、地域全域でDOTSを実施している自治体の診療所における実施率は93・8%、薬局における実施率は93・9%、訪問看護ステーションにおける実施率は93・3%と、それ以外の自治体における実施率86・0%、85・9%、85・9%を大きく上回った。
厚労省は、家庭訪問指導について規定した感染症法53条の14を一部改正することにしている。「処方された薬剤を確実に服用すること、その他必要な指導を行わせる」ため、保健所と医療機関・薬局等との連携協力に関する文言を盛り込む予定である。