利き手が右手になるか左手になるかの決定は、遺伝によるものと言われたり、それ以外の要素によるものと言われたり、原因となる要素がはっきりとは分かっていませんでした。ところが、オーストリア・ウィーン大学の研究チームが、左利きの男性について、ある傾向が存在することを見いだしました。
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左利きの人は右脳が発達しており、右利きの人は左脳がよく使われているということは、ご存じの方が多いでしょう。また、右利きの人が圧倒的に多いことも、よく知られた事実で、大体9割の人は右利きだとされています。このことは、オーストリアとドイツの13,000人を対象とした調査でも9割を上回る人が右利きだったことから、再確認されました。
今回の調査の分析対象となった人たちでは、左利きの人は女性で7.5%、男性で8.8%いました。さらに、左利き人たちの間に何か共通の傾向があるかどうかを調べた結果、11月、12月、1月生まれた男性では、左利きの割合が10.5%だったのに対し、それ以外の月に生まれた場合だとその割合は8.2%に留まりました。
研究チームは、左利きの赤ちゃんが冬に生まれやすい現象は、冬の間の日照時間が短いことよりも、その半年前、初夏の頃に日照時間が長いことが原因になっているのではないかと考察しています。
胎児のときには、左脳の発達はテストステロンによって遅くなることが分かっています。そして、この男性ホルモンは、日光によってより多く作り出されます。さらに、子宮内でのテストステロンの量は、男の子の赤ちゃんが宿っている方が女の子の赤ちゃんの場合よりも高くなります。
このため、妊娠初期に初夏のテストステロンが多いときに男の子の赤ちゃんが宿った場合、左脳の発達が少し遅くなることで、結果的に右脳の成熟度が増し、左利きの赤ちゃんが生まれてくるのではないかとされました。
自然の力が、こんな風に利き手についても及んでいたとは、改めて驚かされますね。左利きの男性が身の回りにいる人は、生まれ月を尋ねてみてはいかがでしょうか?(唐土 ミツル)