プラザキサの抗凝固作用を速やかに中和
独ベーリンガーインゲルハイムは6月30日、同社の開発するヒト化抗体フラグメント「idarucizumab」について、「プラザキサ(R)(一般名:ダビガトランエテキシラート)」の抗凝固作用に対する特異的中和剤として、米国食品医薬品局(FDA)が「画期的治療薬」に指定したと発表した。
この画像はイメージです
FDAによる「画期的治療薬」指定は、重篤または致命的な疾患や症状の治療を目的として開発が進められている薬剤のうち、臨床的に重要な評価項目において既存治療薬を上回る改善が臨床エビデンスによって示されたものになされる。この指定を受けた治験薬は、開発が促進され、審査にかかる期間が短縮されることとなる。
グローバル試験としてREVERSE−AD試験が進行中
idarucizumabに関しては、すでに健康な成人145人を対象とした過去の臨床試験で、プラザキサによる抗凝固作用に対し、迅速かつ持続的な中和が可能となることが示されている。プラセボ対照試験では良好な忍容性が確認され、臨床上問題となる副作用の発現はみられていないという。
現在グローバルで進行中のREVERSE-AD試験では、臨床においてプラザキサを服用中で、従来の治療で対処困難な出血を発症した、あるいは緊急処置を要する患者を対象に、idarucizumabの中和剤としての有効性・安全性を評価している。この試験は35か国以上の500を超える施設で実施される予定で、新規経口抗凝固剤に対する治験開発中の中和剤に関し、患者を対象に評価するものとしては、初の臨床試験となっている。
ベーリンガーインゲルハイムのチーフメディカルオフィサーProf.クラウス・ドゥギ氏は「特異的中和剤(idarucizumab)は、患者さんに緊急の処置が必要な状況で、新たな治療選択肢を医師に提供するものとなるでしょう」と述べている。(紫音 裕)